ネイルサロンを開業したいけど上手く経営できるのかな?失敗する可能性はある?と不安も多くありますよね。
そこで今回は、約10年前に自宅プライベートサロンをオープンし失敗した私の経験から「失敗するネイルサロン」の特徴・原因をご紹介したいと思います。
ネイルサロンの開業を考えている方、リアルな失敗談を知っておくと経営の成功率が変わるはずですよ!
ネイルサロンの店舗数・売上の推移
今から15年前の2005年には全国で8,550店あったネイルサロン、2018年にはなんと3倍以上の28,150店に激増しました(※1)。
以前のネイルサロンは高い技術力が必要だった人工爪(スカルプチュア)や1週間ほどしか持たないマニキュアがメインメニューでしたが、現在はスカルプチュアほどの技術力が必要なく、さらに3週間以上長持ちするジェルネイルがメインに。
長持ちするジェルネイルの登場によってネイルを気軽に試すお客様が増加=ネイルサロンも増加したわけですが、同時に高い技術力が必要ないということで「趣味の延長」のようなネイルサロンが増えたことも理由の1つでしょう。
ネイルサロンの店舗数増加によりネイルサロンは価格競争が引き起こされます。お客様1人あたりの単価は低くなり、1店舗あたりの売上も減少。
2008年には1店舗あたり平均約925万円あった売上は2013年には約720万円まで減っています(※1)。2020年現在はもっと減っていると考えて間違いないでしょう。
ということでネイルサロン業界は熾烈なお客様の取り合いが起きている状態で、これは今後も変わりません。
同じ美容業で言えば美容院と同じですが、美容院は「行くのが普通」な一方で、ネイルは今もまだ「嗜好品」「趣味」という範囲をでていません。少ないお客様を多い店舗が取り合っている…と考えると、いかにネイルサロン開業が難しい道か分かると思います。
しかしそんな厳しい道も成功する人はいるわけです。
※1:NPO法人日本ネイリスト協会「ネイル白書」より
ネイルサロン開業に失敗するサロンの特徴 〜来店前〜
成功は数多の失敗から成り立っているわけですから先人たちの失敗を知っておくのが鉄則。お客様はネイルサロンへ行くまでに以下のような過程を経ています。まずはここから見ていきましょう。
- ネイルサロンを知る
- 口コミ等をチェックする
- 予約する
ターゲット層と立地が噛み合っていない
お客様がネイルサロンを知る(探す)上で、大前提なのが「自分の行動範囲内にあるかどうか」です。
「好きなネイリストがいる」など特別な理由がない限り神奈川に住んでいる人がわざわざ千葉のネイルサロンへは行きません。
そう考えると自分が狙うターゲット層が行動範囲としている場所にネイルサロンを構えることが大事です。
- 10代の学生=学生が多いエリアなど
- 20代〜30代の働く女性=オフィス街など
- 主婦=ベッドタウンなど
駅から遠い
多くの女性が交通手段として電車を利用することを考えると「駅チカ」も必須の条件でしょう。
駅から徒歩10分以上の場所にネイルサロンを開くなら「唯一無二のデザインを提供している」「技術力が高い」「価格が割安」「無料駐車場がある」などプラスアルファの要素が必要になります。
多少家賃が高くても「駅チカ」は何にも代えがたい条件と言えます。
インターネット上に情報を公開していない
お客様がネイルサロンを探す上で利用するのがインターネットです。インターネット上に情報がなにもなければ、お客様はサロンを知ることもできません。
大手予約サイトは掲載料金が高くなかなか手が出ませんが、その分集客の効果は絶大です。もしここに費用をかけられないなら自分で無料でサイトを作れるサービスを利用するのも手でしょう。
その無料サービスの1つで、絶対に作った方がいいのがGoogleビジネス。Googleで「ネイルサロン」などと検索した時に現在地に近いネイルサロンがトップに表示されるのを見たことがあると思います。
そこまで手間でもなくなにより無料でサロンの情報を公開できるので、絶対に作りましょう。
口コミ情報がない・悪い
自分が飲食店に行く時を思い浮かべて欲しいのですが、行こうと思っている飲食店がどういう料理を提供しているのか、美味しいのか、サービスは良いのかを調べるように、ネイルサロンへ行こうと思っているお客様もどういうサロンなのか知りたがっています。
その中で口コミ情報がないと「本当に大丈夫なのかな」と不安を感じ、それなら口コミが良いこっちに行こう!となってしまいます。もし口コミ情報がオープンしたばかりでないという場合は、お友だちなどに施術し書いてもらうのも手(ヤラセはNG)。
そして万が一悪い口コミが付いてしまった場合は、返信できるならきちんと返信しましょう。返信できない場合は口コミが掲載されている媒体に理由を話し消してもらうよう問い合わせてください(断られることもあると思いますが、消してもらえたらラッキーぐらいに考えておくといいです)。
予約を電話でしか受け付けていない
インターネットが普及してからというもの10代〜20代は電話が苦手という方も増えてきています。また、電話だと営業時間内にしか受け付けられないというのも面倒と思われてしまう可能性が。
出来る限りオンライン予約を取り入れるようにしましょう。ネイルブックは月額で、ネイリーは基本無料でオンライン予約機能が利用できます。
ネイルサロン開業に失敗するサロンの特徴 〜来店後〜
さてここまでがまず「お客様がネイルサロンへ行くまで」で改善できるポイントです。そしてここからは「お客様がネイルサロンへ来てから」のポイントを見てみましょう。
- サロンに行く
- 受付しカウンセリングを受ける
- 施術を受ける
- 仕上がりを確認する
- 会計する
- リピート
接客態度が悪い
自分がオーナー兼ネイリストとして1人でネイルサロンを経営するならあり得ないことですが、もし人を雇うなら気をつけなければならないポイントです。例えば
- 来店した時に挨拶しない
- 笑顔がない
- 言葉遣いが悪い
- ネイリスト同士でずっと喋っている
など。ネイリストはマスクをしているので顔の表情が伝わりづらいですが、マスクをしていても笑顔が伝わるような声のトーンや表情の作り方を意識しましょう。
技術がない
ネイル業界は次から次へと新しい商材が出てきますし、デザインにも流行りがあります。基本的な技術力はもちろんトレンドに敏感でいること、そしてトレンドを取り入れられるよう常に練習を重ねていかなければなりません。
また、ネイルサロンでお客様が求めているのはネイルだけでなくリラックスできる空間・時間でもあります。それぞれのお客様が求める接客ができるよう、多種多様な話題を頭に入れておくことも大事です。
会計手段が少ない
最近は電子マネーなどが普及してきたこともあり現金を持ち歩かない方も多いです。
とは言え「電子マネー決済ができないから行かない」という方はまだそれほど多くないので、もし資金に余裕があれば導入を考える程度で良いでしょう。
リピートしたいと思われない
ネイルサロンを経営する上で大事なのがリピート率です。先ほども言った通りネイルサロンはお客様の取り合い。新規集客し続けるには費用もかかりますし、いかに一度来たお客様に続けて来てもらえるかが重要というわけです。
リピートされるネイルサロンは、
- 通いやすさ
- 満足できるネイルの提供(デザインや価格など)
- ネイリストとの相性
の3要素が大事。
満足できるネイルや価格でネイリストとの相性が良くても、立地的に通いづらかったら来店のハードルが上がります。
通いやすくてネイリストと毎回楽しい話ができても、ネイルの出来がいまいちだと満足度が低くなり再来店は難しいでしょう。
通いやすくてネイルのデザインも価格もいいけど、話が合わないネイリストと2時間過ごすのは辛いものがあります。
すべての要素を満たすことにより、ようやくお客様はリピートしてくださります。リピート率が低いと悩んでいる方は、どの要素が足りないのか考えてみてくださいね。
ネイルサロン開業に失敗するサロンの特徴 〜心持ち〜
ここまでお客様の行動から失敗する特徴を見てきましたが、ここからは自分自身の心持ちについて見ていきましょう。
目標がない
そこまで稼ぐ必要がない、趣味の延長でやっている…という方に多いですが売上の目標がない場合、なにが成功なのか失敗なのか分からないので目標は必ずたてましょう。
家賃や光熱費、材料費、人を雇えば人件費、そして自分の給料。
自宅サロンで家賃などがかからない・趣味の延長なら月3万円でも成功ですし、駅チカ物件を借りて人も雇って…となれば月100万円を売り上げても成功とは言えないかもしれません。
「仕事」としてネイルサロンをやっている限り必ず目標は持ってくださいね。
見た目に気を使っていない
ネイリストは美を扱う職業です。お客様のネイルを綺麗にすることが私の仕事だから!というのももちろん間違いではありませんが、なんの手入れもしていない爪のネイリストにネイルをしてもらいたいお客様は少ないでしょう。
太っているエステティシャンにエステをしてもらって痩せるの?まつげが汚いアイリストのまつげエクステ大丈夫?毛がボーボーの脱毛サロン、ちゃんとツルツルになる?と考えるように、自分の爪にも気を使いましょう。
また爪だけでなく髪や肌など見た目も大事。美を扱う職業ということを忘れず、年齢を重ねても相応の美しさを保ちましょう。
生活感を出しすぎている
店舗型のネイルサロンは大丈夫かと思いますが、自宅ネイルサロンを開く場合はそこかしこに生活感を出さないよう気をつけましょう。
お客様はネイルサロンという非日常感も楽しみに来ています。友達の家に遊びに行くような感覚にならないように空間を演出してくださいね。
ネイルサロン開業、リアルな失敗談
さてここまで「失敗しやすいネイルサロンの特徴」をご紹介しましたが、最後に私のリアルな失敗をお話しようと思います。
私が以前、自宅ネイルサロンを開業したのが2009年。閉業したのが2011年です。
月の売上は8万円〜15万円ほど。ちょうど国の制度で始まった職業訓練でネイルスクールを半年ほどやっていたのでまとまったお金になり助かりましたが、そのスクールが終わってからは売上も15万円以上にならず私のやる気も出ず…で閉めることにしました。
ここまで色々と失敗する特徴を挙げましたが、私が痛感したのはなんと言っても新規集客の難しさ。
駅から15分の自宅、インターネットの知識もない、チラシ作成やポスティングに掛けられる費用にも限界がある…と、2009年からの4年間はオープン当初から来ていただいたお客様のリピートによって成り立っていたと言っても過言ではありません。
そのお客様たちはほぼオープン時に作ったDM(新聞折込)で宣伝した時のお客様たちでしたので、オープン時の宣伝としてはやはり古典的な方法が有効なのかもしれません(とは言っても今回serinailオープン時にはDMを打っていないので今現在の効果としては分かりませんが)。
ネイルサロンを知ってもらわない限りお客様は来てくれませんので、何よりもまずはネイルサロンの知名度を上げ、知ってもらうこと。そこからいろんな手を打っていくことが大事です。
私の実体験から、ある程度の宣伝費用を用意してオープンすることを全力でオススメします。
最後に
ということで失敗するネイルサロンの特徴と、私のリアルな失敗談と学びをご紹介しました。
- ターゲット層と立地を合わせる
- 駅チカ
- インターネット上に情報を公開する
- 口コミ情報を載せる、悪い口コミはきちんと返信もしくは削除
- オンライン予約に対応する
- 接客態度を改める
- 技術を上げる
- 会計手段を豊富に用意する
- リピートしたいと思われるサロンづくり
- 目標をたてる
- 見た目に気を使う
- 生活感を出さない
ネイルサロンの開業を考えている方の参考になれば幸いです!